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World Englishes 世界の英語

「秋」ですね。「秋」は、アメリカでは”fall” イギリスでは”autumn”を使います。同じ英語でもアメリカとイギリスで違いがあり、ニュージーランドやオーストラリアでも少し異なります。身近な発音の例ではtomatoはアメリカでは「トメィトゥ」でイギリスは「トマァト」、スペルではアメリカでは”color”、イギリスでは、”colour”など。ある会話で”He was made redundant.”(彼女解雇されたの)と言ったら、アメリカの先生より「アメリカでは”He got laid off”を普通使うよ」と言われました。私のいたニュージーランドではredundantをよく使っていました。最近”World Englishes“という言葉が広まっていますが、「ネイティブ英語」だけが正しいのでなく、英語を母語としない人たちの使う英語もすべて同等の英語だという考えです。インド人もシンガポール人も英語がとても上手です。時おり文法や発音に間違いがあっても、堂々と英語で伝える力はすごいものです。私はタイ、韓国、台湾、シンガポール、インドネシア、ロシア出身の友人や同僚がいたのですが、みんな完璧な英語ではなくても、意思疎通し、休み前の金曜日はよくお酒を飲みかわしていました。

英語は英語を母語として話す人々だけでなく、非英語圏の人たちのコミュニケーション・ツールとして大切な役割を担っています。数年後には英語を使ったコミュニケーションの半分以上が非英語圏の人同士の間で行われると予測されています。世界の人口は約68億人ですが、ネイティブ・スピーカーは約4億人程度にしか過ぎません。これからの将来、もっと多種多様な英語が受け入れられていくことと思います。人間同士がコミュニケーションをするときに、どれだけ英語がきれいかでなく、中身がなければ誰も耳を傾けません。伝えたいことをきちんと伝えられるよう「自分の考えを表現・発信する力」が大切です。私はニュージーランドでTESOL(Teachers of English to Speakers of Other Languages英語を母語としない人たちへの英語教師)という資格を取得しました。当時22人のクラスメイト中、ネイティブでないのは2人のシンガポール人と12歳から英語圏に住む台湾人一人と私です。正直、英語力では自信が持てませんでしたが、度重なる教育実習で様々な国からの生徒が私たち実習生の授業を受講して、最後に南アフリカの元小学校の先生だったコリーンと私の二人を「私たちのベストティーチャーズ」と選んでくれました。決して自慢するためにこのことを書いているのでなく、私が自分の英語力に不安を抱きながらも授業ができたのは、この”World Englishes”という言葉を知っていたから自信が持てたからということを言いたいのです。成人過ぎてから英会話を体験した私には「英語を学ぶ難しさ」を誰より痛感していたので、誰にでも「分かった!」と思ってもらえる授業をするという想いが強くありました。「伝えるもの」があれば伝わるものです。「謙虚さ」は日本の美徳ですが、「自分の英語が恥ずかしい」と言われる生徒さんが多いですが、相手が分からないとした顔をしたとしても「何で言いたいこと分からないのよ!」くらいに、少し厚かましくなることも必要だと思います。私は逆切れすることもあるくらいです。またもっと日本人として自信をもって発信していきましょう。今ではオックスフォードの辞書に、tofu (豆腐)も hikikomori(引きこもり)さえもそのまま載っているのですから。
  過去に、ある大手のこども英語教材の説明を受けたときに、「私たちの教材はすべてアメリカ英語です。オーストラリア英語みたいな日本で言う東北弁をお子さんに学んでほしいですか?」とはっきり言われました。私はこの言葉が受け入れられず、この会社に「アメリカ英語だけが正しいというような表現はおかしくありませんか?」と電話をしてしまいました(笑)。当校は過去13年、イギリス、ニュージーランド、カナダ他さまざまな国からの先生に関わってもらい現在にいたります。生徒さんのなかには13年間の先生をすべて覚えていただいている方もいらっしゃるかもしれませんが、多様な英語・異文化に触れていただきたいと願い、担任制をとっていません。どうか、ここに通われている皆様には、ある特定の国の英語だけが正しいという価値観は持たないでいただきたいと願っています。
 ある小学校のお手伝いをしていた時に、ニュージーランド出身の先生が『tomatoは「トマァト」でなくて「トメイトゥ」と言ってほしいって言われてるよ』と苦笑いしていました。学校教育は基本はアメリカ英語で、生徒を混乱させたくないのかもしれませんが、もっと広い視野の英語教育をしてもらいたいものです。



by TokyoPassport | 2010-11-01 14:00 | ひとり言 | Comments(0)
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日々生徒さんとのやりとりで感じたことや英語教育に関することを中心に書いています。東京パスポート学院の生徒様をはじめ、英語教育に関心のある方に読んで頂けるとうれしいです。 www.gakuin.co.jp


by TokyoPassport 辻井 清江
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